①磨く力 … 見た目と心の向きを、相手のために磨く
磨くものは、2つあります。ひとつは見た目、もうひとつは心の向きです。順番にお伝えしますね。
「見た目じゃなくて、中身を見てほしい」
🤔「見た目で判断されるのは、なんだか納得がいかなくて…」
🤔「マナーとか形式的なことは、正直、苦手です」
婚活のご相談で、こういう気持ちを打ち明けてくださる方は多いです。その気持ち、よくわかります。大事なのは中身ですし、この教科書でこれからお伝えしていくのも、ほとんどが中身の話です。
でも、最初に、ひとつだけお伝えしたいことがあります。身だしなみもマナーも、中身を見てもらうための入口なんです。入口が整っていないと、お相手はあなたの中身にたどり着く前に、不安になってしまいます。
身だしなみは、自分のためではなく相手のためです
お見合いに向けて、服装や髪型を整えることはとても大事です。ただ、目指すのは「おしゃれ」ではなく清潔感です。高い服はいりません。サイズの合った服、整えた髪、手入れされた靴。それで十分です。
なぜそれで十分なのかというと、身だしなみの目的は、自分を良く見せることではないからです。お相手に「この人は今日のために丁寧に準備をしてきてくれたんだな」と伝わること。それが目的です。
つまり身だしなみは、「あなたに会うことを大事に思っています」という、会った瞬間に渡せる最初のメッセージなんです。
マナーは、相手を不安にさせないための技術です
マナーというと、堅苦しい作法を思い浮かべる方が多いと思います。でも、私がお伝えしたいマナーは、もっとシンプルです。お相手を不安にさせないこと。それだけです。
たとえば、遅刻です。電車の遅れは誰のせいでもありませんし、お相手も表向きは「大丈夫ですよ」と言ってくださると思います。ただ、待たされる側は思っている以上に不安になるんです。「場所を間違えたかな」「私、何かしてしまったかな」と考えながら立っている時間は、長く感じます。
待っている間の姿勢、会えた瞬間の笑顔とあいさつ、席についてからの声の大きさ。どれも、作法として覚えるものではありません。「この人は、今ここで安心していられるかな」と相手の側から考えると、自然に出てくる行動です。マナーの正体は、相手への気づかいなんです。
具体的な整え方や当日の流れは、第3部の「出会う・お見合い」の章と、章末の記事にゆずります。
「自分磨き」とは、違います
ここで「あれ?」と思った方がいるかもしれません。第1部の1-5で、自分を直さなくていいとお伝えしました。それなのに、ここでは「磨け」と言っている。矛盾ではないか、と。
違うんです。世の中でよく言われる「自分磨き」は、モテるために欠点を直したり、今の自分とは別の、もっと良い誰かになろうとすることが多いと思います。この章でいう磨くは、そうではありません。性格を変えることでも、別の人になることでもなく、大事な人が家に来る前に部屋を片づけるのと同じで、相手に向かうための準備です。
あなたのままでいい。そのうえで、お相手が安心してあなたの中身に近づけるように、入口を磨いておく。磨く力は、自分を否定する力ではなく、相手を大事にする力なんです。
そして、「磨く」という言葉には、もうひとつ意味を込めています。人に対する向き合い方、つまり、婚活でも、その先の夫婦やパートナーとの関係でも変わらない、基本の姿勢を整えることです。それは、自分の人間性としての魅力を、これから磨いていくぞと意思を固めることでもあります。欠点を直すのではなく、人としての魅力を磨く。その意思を固めるところから、磨く力は始まります。
磨くのは、見た目だけではありません
もうひとつ、磨いてほしいものがあります。心の向きです。婚活にどういう姿勢で向き合うか、という部分です。
お見合いに向かうとき、「いい人かどうか判定しに行く」つもりで行くのか、「この人はどんな人なんだろうと知りに行く」つもりで行くのか。同じ1時間でも、心の向きによって、お相手に伝わる空気はまったく変わります。そして、この心の向きには、大事なポイントが3つあります。
信頼を先に積みます。「いいな」は、あとから見えてきます
ひとつめです。第1部でお伝えしたとおり、仲良くなるから、いいなと思えるんです。お相手のいいところは、仲良くなってからでないと見えてきません。会う前や会った直後の印象だけで「アリかナシか」を決めてしまうと、いちばん大事な部分が見える前に終わってしまいます。
だから私は、今はまだ興味が持てない段階でも、そこで切らずに、いったん交際を続けて仲良くなっていくことを大事にしてほしいと思っています。興味が持てないのは、その人に魅力がないからではなく、まだその人の奥を知らないからかもしれません。奥を知っていく方法は、次の章の「深掘る力」でお伝えします。
心の向きを「いい人を探す」から「先に信頼を積む」に変えておく。これが、ひとつめのポイントです。
婚活は、未来の自分のためにやるものです
ふたつめです。婚活は、今日のデートを楽しむためにやるものではありません。結婚して良くなるのは、今の自分ではなく、未来の自分です。10年後、20年後、そしてその先の暮らし方が、今の行動で変わっていきます。
だから、「今日は楽しくなかった」「今すぐはときめかない」という理由だけで、次に進むかどうかを決めないでほしいんです。もちろん、楽しめるに越したことはありません。でも、楽しめない自分に気づいたなら、楽しめる自分になっていくことも、婚活というトレーニングの一部です。
そして、婚活はお相手のためにやるものでもありません。未来の自分の人生のためにやるものです。この向きがあると、少しくらいつらい場面があっても、前を向いていられます。
「相手が何をしてくれるか」ではなく、「自分がどうありたいか」です
みっつめです。「いい人がいれば結婚したい」「この人は私に何をしてくれるんだろう」。こういう気持ちが出てくるのは、自然なことです。でも、この向きのまま会いに行くと、お相手から何かをもらう側、受け取る側の構えになってしまいます。受け取る側の構えでいると、会った瞬間から、足りないところを数える見方が始まってしまうんです。
向きを変えてみてください。相手が何をしてくれるかではなく、自分がどうありたいかです。どんな人間でありたいか、どんな人を幸せにするような人生でありたいか。ここが自分の中で言葉になっていると、お相手を減点する見方から、お相手のいいところを探して、理解して、応援する見方に変わります。そして、そういう人が、結果として選ばれていきます。
身だしなみもマナーも、この心の向きも、ぜんぶ同じひとつのことを伝えています。「あなたを大事に思っています」という姿勢です。磨く力は、あなたのあり方が、最初に外へ表れる場面なんです。
磨く力が、いちばん最初にある理由
5つの力の中で、なぜ磨く力を最初に置いたのか。そこには理由があります。
信頼結婚メソッドは、「できるようになってから、良い結婚ができる」というものではありません。そうではなく、今から一生をかけて磨き続ける、より良くなり続けると考えてほしいんです。だから、いちばん最初に置いています。
なぜ一生なのかというと、人との違いは、なくなることがないからです。ひとつのことを乗り越えれば、また次の何かが起きます。それが人生というものです。結婚したら終わり、ではありません。そのたびに、もう一度姿勢を整えて、このメソッドの基礎に基づいて行動していく。そうやって、ひとつひとつ人と信頼を重ねていくことが、そのまま自分の姿勢を磨くことになります。
そして、磨き続けた先にあるのは、人と深くつながっていけることと、そこに喜びを感じられるようになることです。これも、ひとつのスキルです。磨くほどに、人とつながる喜びを感じる力も上がっていきます。磨く力は、第2部の入口であると同時に、この教科書を読み終えたあとも、ずっと続いていく力なんです。
磨いた人のそばは、安心できます
第一印象というと、減点されないための話だと思われがちです。でも、私はこう考えています。第一印象は、減点を避けるためではなく、安心を渡すためにあります。
「この人となら、安心して話せそう」。お相手がそう感じてくれたとき、会話が始まります。そして、そこから先は、次の章でお伝えする深掘る力の出番です。
当日にがんばることは、じつのところ多くありません。準備と、心の向き。この2つが磨かれていれば、特別な話術がなくても、信頼は静かに始まっていきます。
この章のまとめ
- 身だしなみもマナーも、中身を見てもらうための入口です
- 目指すのはおしゃれではなく清潔感。「丁寧に準備してきた」が伝わることが目的です
- マナーの正体は、相手を不安にさせないための気づかいです
- 磨くのは、自分を直すことではありません。相手に向かうための準備であり、人としての魅力を磨いていくぞと意思を固めることです
- 心の向きも磨きます。「いいな」はあとから見えてくるので、信頼を先に積みます
- 婚活は今日を楽しむためではなく、未来の自分のためにやるものです
- 「相手が何をしてくれるか」ではなく、「自分がどうありたいか」で向かいます
- 人との違いはなくなりません。だから磨く力は、一生をかけて磨き続ける力として、いちばん最初にあります
- 磨いた人のそばは安心できます。その安心から、会話と信頼が始まります
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