第2部 5つの力編 信頼結婚の教科書|2-1

①聞く力 … 相手に関心を向ける

第2部では、信頼を積み上げる5つの力をお伝えします。第1部でお伝えした「あり方」と「選ばない」という土台の上で、目の前の人と実際に信頼を積んでいくための、コミュニケーションの技術です。①から順に読めるように並べてあります。最初の力は、聞く力です。

「何を話せばいいか、わからない」

🤔「お見合いで会話が続かなくて、沈黙が怖いんです」

🤔「初対面の方と、何を話せばいいかわかりません」

婚活のご相談で、いちばんよく聞くお悩みのひとつです。そして多くの方が、面白い話題を用意したり、話し上手になろうと頑張ったりします。

でも、最初に磨いてほしいのは「話す力」ではありません。聞く力です。信頼関係は、上手に話すことからではなく、相手に関心を向けて聞くことから始まります。

会話が続かないのは、話が下手だからではありません

沈黙が怖いとき、頭の中はどうなっているでしょうか。「次に何を話そう」「変な人だと思われていないかな」。意識が全部、自分に向いているんです。自分に矢印が向いている間は、目の前の相手のことが見えなくなります。

聞く力とは、この矢印を相手に向ける力です。「この人は、どんな人なんだろう」「何を大事にして生きてきたんだろう」。関心が相手に向いた瞬間、質問は自然に生まれてきます。会話が続かない本当の原因は、話す技術ではなく、関心の向きだったんです。

興味は「技術」として持てるようになります

🤔「でも、好きでもない相手に、興味なんて持てなくて…」

そう感じる方も多いと思います。ここで大事なことをお伝えします。興味は、感情ではなく技術です。

湧いてくるのを待つものではなく、質問して、知って、初めて湧いてくるものなんです。人はだれでも、その人にしかない経験と物語を持っています。知らないから、興味が持てない。知れば、面白くなってくる。1-2でお伝えした「仲良くなるから、いいなと思える」と同じで、ここでも順番が逆なんです。

気をつけたいのは「話題泥棒」です

聞いているつもりで、やってしまいがちなことがあります。相手の話を、自分の話にすり替えてしまうことです。

😊「先月、京都に行ったんです」

「京都いいですよね!私も去年行って、それでね…」

共通点を見つけて嬉しくなる気持ちは、とても自然なものです。でも、ここで自分の話を始めてしまうと、盛り上がった気がしているのは話した側だけになります。相手は、自分の話を最後まで聞いてもらえなかったことを、ちゃんと覚えているんです。

思い当たる方は、安心してください。悪気がないからこそ起きる、ただのクセです。気づけば、直せます。

話題を変える前に「あと一問」

聞く力を育てる、いちばんシンプルな方法をお伝えします。話題を変える前に、あと一問だけ聞いてみることです。

「京都に行ったんです」に対して「いいですね。ところでお仕事は…」と話題を横に滑らせるのではなく、「京都で、どこがいちばん良かったですか?」と一歩だけ深く降りてみます。すると、その人がなぜそこに惹かれたのか、何を大事にしている人なのかが、少しずつ見えてきます。

会話は、広げるものではなく、深めるものです。「あと一問」が、その入り口になります。

聞いてもらえた人は、今度は聞きたくなります

人は、自分の話を興味を持って聞いてもらえると、安心します。「この人は、私を否定しないでいてくれる」と感じられると、心が開きます。そして不思議なことに、聞いてもらえた人は、今度は相手のことを聞きたくなるんです。

聞いてもらう→安心する→相手に興味が湧く→今度は自分が聞きたくなる。この循環が回り始めた状態が、信頼が積み上がっていく状態です。

興味を持って相手の話を聞くことは、「あなたに関心があります」という、会ったその日から渡せる最初の贈り物です。特別な話術はいりません。聞く力は、最初からできる愛情表現なんです。

この章のまとめ

  • 信頼関係は、上手に話すことからではなく、聞くことから始まります
  • 会話が続かない本当の原因は、意識が自分に向いていることです。矢印を相手に向けます
  • 興味は感情ではなく技術です。質問して、知るから、面白くなってきます
  • 相手の話を自分の話にすり替える「話題泥棒」に気をつけます
  • 話題を変える前に、あと一問。会話は広げるより、深めるものです
  • 興味を持って聞くことは、会ったその日から渡せる最初の贈り物です

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