④伝える力 … 自分を渡す
「言いたいことが言えない」…我慢していませんか
😔「ちょっとした一言で、ケンカになってしまって…」
😔「本音を言ったら相手が不機嫌になったので、それから言えなくなりました」
伝えたいことがあるのに、言えない。どう伝えたらいいかわからない。だから我慢する。婚活中の方からも、ご結婚されている方からも、本当によく聞くお悩みです。
でも、我慢はいつまでも続きません。ためこんだ気持ちは、いつか、いちばん良くない形であふれます。かといって「察してほしい」と願っても、2-3でお伝えしたとおり、相手は自分とは感じ方の違う存在です。言葉にしないまま伝わることは、残念ながらほぼありません。
伝えることは、わがままではありません。自分の気持ちを相手に渡すことは、信頼を積むうえで欠かせない力なんです。
正しいことを、正しくぶつけると、関係がこわれます
たとえば、脱いだ靴下をそのへんに置きっぱなしにするパートナーがいたとします。
「なんで靴下、脱ぎっぱなしなの?」
「いつも片付けないよね?」
「普通は、こんなことしないよ?」
言っている内容は、正しいんです。でも相手に届くのは、内容より先に「責められている」という感覚です。特に、普段から自分を責めるクセのある人は、少しの指摘でも「責められた」と感じやすいものです。責められたと感じた人は素直に受け取れず、言い返すか、黙って心を閉じるかになります。正しさで勝って、関係が負けるんです。
パートナーとの関係でいちばん大切なのは、正しさではありません。「正しさ」よりも「仲良し」です。この前提に立つと、伝え方が変わってきます。
サンドイッチ話法…本音を、愛のある言葉で包みます
そこで私がお伝えしているのが、サンドイッチ話法です。伝えにくい本音を、感謝とポジティブな言葉ではさんで渡す技術です。
ステップ①は、褒め・ねぎらい・感謝です(上のパン)。
「いつもお仕事お疲れさま。ほんとに頑張ってるよね、ありがとうね」
ステップ②で、本音・お願いを伝えます(具材)。
「一個お願いがあるんだけど、聞いてもらってもいい? 靴下を脱いだらカゴに入れてくれると嬉しいんだよね」
ステップ③は、未来への希望・ポジティブな気持ちです(下のパン)。
「二人でずっと楽しく暮らしていきたいから、できるだけお願いします」
同じお願いなのに、さっきの「なんで脱ぎっぱなしなの?」とは、受け取る側の感覚がまったく違うと思いませんか。最初が感謝から始まると、相手は「責められていない」と安心して、本音を受け取る準備ができます。そして最後がポジティブな言葉で終わると、その会話はあたたかい記憶として残ります。「責めてないよ」「仲良しでいたいよ」というメッセージは、少しおおげさなくらいでちょうどいいんです。
具材は薄く、が上手に作るコツです
サンドイッチ話法には、よくある失敗があります。
ひとつめは、褒め言葉のあとに「でも」をつけてしまうことです。「すごいね、でも…」と言われた瞬間、前半の褒め言葉は消えてしまいます。ふたつめは、本音のパートが長すぎることです。具材を盛りすぎると、サンドイッチのつもりが、結局お説教になってしまいます。お願いは小さくひとつだけ、サッと渡すのがコツです。みっつめは、上から目線の褒め方です。「えらいね」より「助かるよ」のほうが、横並びの言葉になります。
そして全体を通して、あくまで「お願いベース」で伝えます。「〜してよ」という命令ではなく、「〜してくれると嬉しいな」というお願いです。サンドイッチ話法は、相手を思いどおりに動かすための技術ではなく、仲良しのまま本音を渡すための技術だからです。
渡す本音は「一次感情」まで降りたものを
では、具材になる本音は、どう見つければいいのでしょうか。ここで、②深掘り力が生きてきます。
たとえば、お相手から連絡が2日来なくて、怒りが湧いたとします。その怒りをそのまま「なんで連絡くれないの!」とぶつけても、本音を渡したことにはなりません。怒りは二次感情といって、心の表面に出てきた形にすぎないからです。怒りの奥には、寂しかった、不安だった、悲しかったという一次感情が隠れています。
自分の心を深掘りして、一次感情まで降りてから渡します。「連絡がないあいだ、寂しかったんだ」。怒りをぶつけられたら人は身構えますが、寂しさを渡されたら、人は寄り添いたくなります。②の章でお伝えした「本当の願い」を④で渡す。5つの力は、こうしてつながっているんです。
「ありがたいセンサー」を育てましょう
最後に、いちばん土台になる話です。サンドイッチ話法は、パン…つまり感謝の言葉がなければ作れません。
いざというときに感謝の言葉がすっと出てくるように、日ごろから、相手の小さなありがたいことを受信するクセをつけておきます。私はこれをありがたいセンサーと呼んでいます。ゴミを出してくれた。時間どおりに来てくれた。話を最後まで聞いてくれた。当たり前に見えることの中からありがたいことを見つけて、日々ことばにして渡しておくんです。
信頼は、日々の小さな言葉の積み重ねで作られます。まずは1日1回、相手のいいところをことばにして渡すことから始めてみてください。
この章のまとめ
- 我慢して察してもらうのを待っても、気持ちは伝わりません。伝えることは、信頼を積む大事な力です
- 「正しさ」よりも「仲良し」。正しさで勝って、関係が負けたら意味がありません
- サンドイッチ話法は、感謝→本音・お願い→未来の3ステップ。本音を愛のある言葉で包んで渡します
- 具材は薄く、お願いはひとつだけ。「でも」で台無しにせず、命令ではなくお願いベースで伝えます
- 怒りのまま投げず、奥にある一次感情(寂しい・悲しい・不安)まで降りてから渡します
- 土台は「ありがたいセンサー」。日々の小さな感謝の言葉が、パンになります
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