第2部 5つの力編 信頼結婚の教科書|2-5

⑤受け取る力 … 受け取る・頼る・甘える

5つの力の最後は、受け取る力です。相手の優しさを受け取る、頼る、甘える。この力が締めくくりに置かれているのには、大事な意味があります。渡すだけでは、愛は循環しないからです。

優しくされると「すみません」と言っていませんか

ドアを開けて待っていてもらったとき。席をゆずってもらったとき。何かを手伝ってもらったとき。そのたびに、反射のように「すみません」と言っていませんか。

悪いことをしたわけではないのに、なぜか謝ってしまう。自分では気づかないうちに、一日に何十回も言っている方もいます。

私自身が、そうでした。私には自閉症の息子がいます。息子が小さかった保育園のころ、私は毎日のように「すみません」と謝っていました。先生にも、ほかの保護者の方にも。もともと私は甘えるのが苦手で、優しくされると逃げたくなるタイプでした。受け取るのが、とても下手だったんです。

「すみません」は、相手を「怒っている人」にしてしまいます

ずっとあとになって、気づいたことがあります。

あの「すみません」は、本当は助けようとしてくれていた人を、こちらが謝り続けることで、勝手に「怒っている人」に仕立て上げてしまっていたんです。力になりたいと思ってくれていた人を、知らないうちに悲しい気持ちにさせていました。

「ありがとう」は、その逆をやってくれる言葉です。「あなたのおかげで助かった」「あなたがいてくれてよかった」。感謝された相手は、素直に嬉しくなります。「ありがとう」は、相手を、申し訳なさを向ける相手ではなく、親切なヒーローにする言葉なんです。

謝りすぎると、横並びの関係が作れません

「すみません」は、もともと相手にあやまる言葉です。何かしてもらうたびに言っていると、無意識のうちに、相手を上に、自分を下に置いてしまいます。

パートナーとの関係でいちばん大事なのは、お互いが横並びでいられることです。謝り癖があると、知らないうちに「させてもらっている側」「申し訳ない側」に自分を置いてしまいます。その奥には「自分は優しくされる価値がない」という気持ちが隠れていることが多いんです。

もし思い当たっても、自分を責めないでください。これは性格の問題ではなく、受け取り方のクセです。クセなので、練習すれば変えられます。

受け取ることは、相手への愛になります

受け取って「ありがとう、嬉しいです」と返すことは、受け身の行動ではありません。相手の優しさをまっすぐ受け取って、喜びを返す。それは、自分から関係をあたためにいく、能動的な行動です。

お見合いで気をつかってもらったとき。仮交際で何かしてもらったとき。「すみません」ではなく「ありがとう、嬉しいです」。たったこれだけで、二人の距離はやわらかく縮まっていきます。

受け取ることは、相手への愛になるんです。

頼ることは、相手に出番を渡すことです

受け取る力には、もう一歩先があります。差し出された優しさを受け取るだけでなく、自分から、頼る・甘える・お願いすることです。

「一人で全部できます」という人は、婚活でも結婚生活でも、実は少し損をしています。なんでも一人でできてしまうと、相手の出番がないからです。出番がないと、相手は「自分は必要とされていない」と感じてしまいます。そして自分の側にも「大事にされている」という実感が生まれません。②深掘り力の章に出てきた、あの「本当の願い」が、いつまでも満たされないままになるんです。

頼ることは、弱さではありません。相手に「あなたの力を借りたい」と出番を渡すことです。根っこにあるのは、受け取るときと同じ「私は受け取っていい」という自分への許可です。

小さなお願いからで大丈夫です。重い荷物をひとつ持ってもらう。お店選びをまかせてみる。頼って、受け取って、「ありがとう、嬉しいです」と返す。この繰り返しが、二人の間に、与え合って受け取り合う循環を作っていきます。

5つの力の終着点は「一人で頑張らない」です

聞く、深掘る、理解する、伝える、受け取る。5つの力をお伝えしてきて、最後が「受け取る・頼る・甘える」で終わることには、意味があります。

信頼結婚メソッドが目指しているのは、片方が頑張って支え続ける関係ではありません。お互いに渡し合い、受け取り合い、頼り合える関係です。そしてこれは、1-7でお伝えしたとおり、夫婦の間だけの話でもありません。婚活そのものも、一人で頑張らないでほしいんです。

5つの力は、読むだけでは身につきません。婚活という練習場で、そして講座やオフ会という安心して練習できる場で、少しずつ試してみてください。1-1でお伝えした「婚活は自分を高めるトレーニング」の中身が、この5つの力です。トレーニングの先に、世界でいちばん信頼できる人と、喜ばせ合いっこをしながら暮らす毎日が待っています。

この章のまとめ

  • 優しさへの反射の「すみません」は、助けたかった相手を悲しませてしまいます
  • 「ありがとう」は、相手をヒーローにする言葉です
  • 謝り癖は性格ではなく、受け取り方のクセです。練習で変えられます
  • 受け取ることは、受け身ではなく、関係をあたためにいく能動的な愛です
  • 頼ることは、相手に出番を渡すことです。「私は受け取っていい」と自分に許可を出します
  • 5つの力の終着点は「一人で頑張らない」。渡し合い、受け取り合う関係を目指します

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